国際化が進んだ現在では、法定相続人の中に海外在住の方がおられるケースはもはや珍しいことではなくなりました。
法定相続人の中に海外在住の方がおられるケースであっても、基本的には相続手続き自体の大きな流れが変わることはありません。
違いが生じるのは、日本国内では発行されている印鑑証明書や住民票が、海外在住の方の場合には(一部の国・地域を除いて)存在しないケースが多いことから、その代わりになる書面が必要になる点です。以下で具体的に見ていくことにしましょう。
※注.海外在住といっても単身赴任などで住民登録上の住所を日本国内に置いておられる方の場合には、その住所地で印鑑証明書や住民票を入手いただければ足ります。
◎署名証明書(サイン証明書)
これは日本における印鑑証明書の代わりとなる書面です。
相続手続きで遺産分割協議による遺産分割をする場合、通常は法定相続人全員が遺産分割協議書に署名し、実印を捺印して印鑑証明書を添付します。
しかし、印鑑証明書を発行していない国や地域にお住まいの方の場合、署名証明書(サイン証明書とも言います)を現地の日本領事館などで発行してもらいます。
【具体的な手続きの流れ】
①遺産分割協議書を海外在住の相続人の方に郵送かメールで送付し、その協議書とパスポートを持って現地の日本領事館などに行っていただく
注.この時点ではまだ遺産分割協議書には署名しないでください。
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②領事の面前で本人が遺産分割協議書に署名し、拇印を押す。
更に、領事に署名証明書(サイン証明書)を発行してもらい、遺産分割協議書に合綴して割印する。
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③手数料を支払う。(日本円換算で1,700円相当の現地通貨)
◎在留証明書
これは日本における住民票の代わりとなる書面です。
遺産分割協議の結果、不動産の名義人となる(不動産を取得する)場合には必要となります。これも現地の日本領事館などで発行してもらいます。
日本国籍を有し、現地に3ヶ月以上滞在して住所が公文書などで明らかになっていることが必要です。
手数料は、日本円換算で1,200円相当の現地通貨です。
※各種証明書の申請方法・手数料・必要書類などの詳細については、国や地域によっても異なりますので、証明を受けようとする現地の日本領事館などにお問い合わせください。
(参考)外務省ホームページ「在外公館における証明」のページへリンク
これらの署名証明書や在留証明書の取得にはご本人様が直接領事館などに出向く必要があり、場合によっては遠方になるため書類の取得に時間がかかる場合があります。従いまして、余裕を持ってお早めのご準備をお勧めします。
なお、ご不明の点などございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
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