日本でも近年では国際交流が進み、外国籍の方と国際結婚をされる方も増えています。朝の連続ドラマでも国際結婚の主人公夫妻が話題になりました。
また、日本国籍を有していた方でも、海外に移住され、現地の国籍を取得されたことに伴って日本国籍を喪失される方もおられます。
では、相続が発生した場合、相続人の中に外国籍の方がおられる場合の相続手続きは、一体どのような違いがあるのでしょうか。
このような、諸外国との間における権利関係の調整について、我が国では「法の適用に関する通則法」という法律があります。この法律の第36条において、「相続は、被相続人の本国法による。」と規定しています。つまり、被相続人(亡くなられた方)が日本人である限りは、日本の民法が適用されることになりますので、相続の手続きに関しては、たとえ相続人の方に外国籍の方がおられても変わりはないことになります。
ただ、外国籍の方の場合には戸籍謄本、印鑑証明書や住民票がない場合があることから、その代替となる書面が必要となります。その書面の取り寄せなどで時間や手間を要するケースが多いです。
◎台湾など、戸籍制度のある国の場合には、その戸籍証明書を取得します。同時に、その戸籍証明書を日本語に訳した書類も併せて用意します。
◎戸籍制度のない国の国籍の方であっても、もともと日本国籍を有していたが変更している方の場合は、日本に戸籍があったはずなので、過去の戸籍をたどっていくことで相続関係を確認します。
◎戸籍制度のない国の国籍の方で、一度も日本の戸籍が作られたことがない外国籍の方の場合は、その方の配偶者(日本人)の戸籍に婚姻の事実が記載されているので、相続関係はそこで確認をすることができます。
【参考・外国人の戸籍について】
日本人同士の結婚の場合は、氏を名乗る方が戸籍の筆頭者となり、夫婦2人が同じ戸籍に入ります。
一方、日本人が外国人と結婚すると、日本人が筆頭者となる新しい戸籍ができます。この場合、日本人の方の戸籍だけが新たに作られます。外国人配偶者の戸籍は作られず、日本人配偶者の戸籍に婚姻した事実(配偶者の氏名、生年月日、国籍)が記載されるのみです。
このように、相続人の中に外国籍の方がおられる場合、その方の出身国や居住地域などによって準備すべき書類もさまざまですので、詳しくはご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
一般社団法人民事信託士協会認定 第5期民事信託士(登録番号 第20ー05ー106号)
〒631-0078 奈良市富雄元町2丁目2番1号 富雄駅前木村ビル406号 TEL 0742-81-4101 FAX 0742-81-4102