前項(11.相続人の中に外国籍の方がいる場合の手続き)では、相続人の中に外国籍の方がいる場合について見てきましたが、では逆に被相続人(亡くなられた方)が外国籍の方だった場合にはどうなるのでしょうか?
その手がかりとなるのが、前項でも述べた、「法の適用に関する通則法」という法律の規定です。今回の事例と関係のありそうな規定を見てみましょう。
第36条 相続は、被相続人の本国法による。
第41条本文 当事者の本国法によるべき場合において、その国の法に従えば日本法によるべきときは、日本法による。
第41条本文のケースのように、「その国の法」に従うと準拠すべき法律が日本法になることを、「反致する」といいます。
つまり、まずは第36条の規定により、被相続人(亡くなられた方)の本国の法律を調べ、その本国の法律の規定をあてはめるた結果、日本の民法を適用すべき、との結論となれば、日本の民法に従って処理されることになります。逆にその結論にならなければ、本国の法律によって処理されます。
◎反致することにより、日本法によって処理される国…中国、ブラジルなど
こちらのケースは、日本法が適用されるのですから、通常の相続手続きとさほど変わらず、あとは必要書類の確保ということになります。
◎被相続人の本国の法律により処理される国・地域…台湾、韓国など
問題はこちらのケースです。台湾や韓国の場合は事例も多いため大丈夫だと思いますが、場合によっては外国法に精通した専門家の協力を仰ぐことが必要になり、現地の法令の調査や必要書類の収集にかなりの手間と費用が必要になる可能性があります。
このように、特に外国法が適用されるケースでは手続きの難易度が上昇しますので、このような事態を回避するため、特に在日外国人の方、国際結婚をした方、親族の中に国際結婚をした方がおられる方は、あらかじめ遺言書を作成されておくことを強くおすすめします。
詳しくはお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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