被相続人の方がお亡くなりになり、相続が開始すると、被相続人が持っておられた財産は、すべて相続財産として相続人に引き継がれる対象となります。
では、相続財産とは具体的にはどのような財産のことなのでしょうか。
まず第1段階として、本来の相続財産と、みなし相続財産とに分けられます。
ここでは、本来の相続財産のお話をさせていただきます。
(みなし相続財産とは、本来の相続財産ではないものの、相続税の算定基準には含まれる財産のことをいいます。詳しくは「29.みなし相続財産について」をご参照ください。)
本来の相続財産とは、被相続人の方が生前有していた財産的価値のある物、権利、義務のことで、言い換えるならば、お金に換算できる価値のあるものと言っても良いでしょう。
これらは更に、プラスの財産とマイナスの財産とに分けられます。
【主なプラスの財産】
◎不動産…土地、建物
◎不動産に関する権利…借地・借家権、定期借地・借家権など
◎現金・預金…現金(紙幣や貨幣)、小切手、普通預金、定期預金、当座預金など
◎動産…自動車、家具、宝石、貴金属、機械、美術品、骨董品など
◎有価証券…株式、会社等への出資金、社債、国債、地方債など
◎債権…貸付金、売掛金、未収金など
◎事業用財産…機械設備、備品類、自動車、商品・製品、売掛金など
◎その他の財産…ゴルフ会員権、著作権、特許権など
【主なマイナスの財産】
◎債務…住宅ローン、金融機関からの借入金、知人からの借金、クレジットカードの利用代金など
【相続財産にならないもの】
◎被相続人の一身に専属する権利
被相続人の一身に専属する権利とは、その権利の性質上、その人にだけ与えられるべき権利であり、他の人に受け継がせることが適当ではない権利のことです。
例.代理権、消費貸借契約上の借主たる地位、雇用契約上の従業員たる地位、組合員の地位など
これらの権利が相続財産にならないのは、被相続人の方との間の個人的な信頼関係を基礎として成立した権利であるので、たとえ相続という理由であっても、別の人がその権利を引き継いでしまうと、その個人的な信頼関係が希薄になってしまうからです。
◎生命保険金、死亡退職金
これらは本来の相続財産ではありません。これらの金銭は受取人の固有財産となるからです。
(但し、みなし相続財産として、相続税の算定基準には含まれます。詳しくは「29.みなし相続財産について」をご参照ください。)
◎祭祀に関する権利
祭祀を営むための系譜(家系図)、祭具(仏壇、仏具、位牌など)、墳墓(墓石、墓碑など)の祭祀財産は、相続財産に属せず、祖先の祭祀を主宰すべき者が承継します。
このように、相続財産になるかならないかの判断には、中には難しいものもありますので、相続財産についてご不明の点がございましたら、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
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