改製原戸籍(かいせいげんこせき)とは、読んで字のごとく、改製(作り替える)原(もとの)戸籍ということで、戸籍簿の作り替えが行われた際のもとの戸籍簿のことです。
注.役所の窓口などでは、「げんこせき」と言ってしまうと現在の戸籍と間違えてしまうので、区別するためにあえて「はらこせき」と言ったりもします。
改製原戸籍も除籍簿と同様、現に効力を有する戸籍簿ではなくなっていますが、改製後の新しい戸籍簿には記載されていない事項が改製原戸籍に記載されている場合がありますので、やはり取得する必要があります。
明治時代の初めに戸籍制度が作られて以来、戸籍制度は何度か改正され、その際に戸籍簿の様式も変わったため、戸籍簿そのものが全面的に作り替えられたケースが何度かあります。
例えば、戦後だけを取り上げてみても、既に2回にわたって戸籍簿の全面作り替えが行われています(但し、2回目の分は今なお作業の途上です)。
【1回目=新民法制定に伴う改製】
1回目の改製は、戦後の民法改正に伴うもので、それ以前は家単位で編成されていた戸籍を、現在のようにご夫婦と(未婚の)お子様を1つの単位とする形になったため、全面的に戸籍簿の様式が新しくなり、戸籍簿が書き換えられました。
実際の改製日は市区町村により異なりますが、おおむね昭和32年~40年頃に改製されています。改製原戸籍謄本または抄本に「昭和参拾弐年法務省令第二十七号により昭和○年○月○日あらたに戸籍を編製したため本戸籍消除」などと記載されているはずですので、一度ご覧になってみてください。
戦後の民法改正は昭和22年(施行は翌昭和23年1月1日)でしたので、それから随分と遅れて戸籍簿の改製が行われたことになりますが、戦後日本の混乱状況を考えれば、やむを得なかったのでしょう。
【2回目=戸籍簿の電算化(コンピュータ化)に伴う改製】
2回目の改製は、平成6年から始まったもので、戸籍簿を電算化(コンピュータ化)することに伴い、それまでの紙の戸籍簿の記載内容をコンピュータに移し替えたことによるものです。
もっとも、まだ全国すべての市区町村で戸籍簿の電算化が完了したわけではなく、まだ完了していないところも残っています。
ちょっと古いデータですが、全国の市区町村の戸籍簿の電算化率は、平成21年5月現在で約80%と言われています。
奈良市、生駒市、大和郡山市など奈良県内の12の市ではすべて電算化が完了しています。
近畿地方の大都市では、大阪市、神戸市は完了していますが、京都市は依然一部の区にとどまっています(平成28年度までに完了予定)。
主に大都市で、膨大な作業量、人手不足、予算不足などがネックとなり、電算化作業がなかなか進まない面があるようです。デリケートな個人情報を扱うだけに、容易ではないことだと思います。
改製原戸籍謄本または抄本に「平成六年法務省令第五十一号附則第二条第一項による改製につき平成○年○月○日消除」などと記載されているはずですので、一度ご覧になってみてください。
また、当然のことながら、コンピュータ化が完了していない市区町村では、この(平成)改製原戸籍はないことになります。
また、これ以降の戸籍簿の全面改製はありませんので、紙の簿冊式の「改製原戸籍謄本」または「改製原戸籍抄本」しかあり得ず、コンピュータ化された改製原戸籍全部事項証明書とか改製原戸籍個人事項証明書というものは、未だ存在していません。
【被相続人の場合、全部で何通あるの?】
被相続人(亡くなられた方)の戸籍関係の書類を出生から死亡まですべて揃えると、一体何通必要になるのでしょうか?
答えは、歩んでこられた人生がいろいろですので、一概には申し上げられないです。
若くしてお亡くなりになられたのでない限り、少ない方でも3~4通、多い方ですと10通近く必要な場合もあります。
私ども司法書士であっても、ある程度の目星はつけますが、「一通り取ってみないと分からない」のが実情です。
ただ、必要通数が多くなればなるほど、取得のための手間や費用がかかります。
(戸籍は1通450円、除籍・改製原戸籍は1通各750円。ちなみに謄本・抄本とも同額です。)また、古いものになりますと、毛筆書きのものがあったりして、一体何を書いているのか判読が困難な場合もあります。
はしもと司法書士事務所では、このような戸籍関係の書類の取得のお手伝いや、記載内容に関するお問い合わせも承っておりますので、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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