相続登記の手続では、登記簿に記載された登記名義人が、確かに被相続人(亡くなられた方)に間違いないことを証するために、被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票または戸籍の附票の除票を法務局に提出することになっております。
とはいっても、登記簿上に記載された被相続人(亡くなられた方)の住所は、必ずしも最後にお住まいだった住所と一致しているとは限らず、むしろ異なっているケースも多いです。
このような場合には、登記簿に記載されたその住所に確かにお住まいであったことを証明するため、被相続人(亡くなられた方)の過去の住所を証明する必要が出てくるのです。
ところが、この住民票の除票や戸籍の附票の除票は、「26.上申書という書類について その2 住所の沿革がつかない場合」の項目でもお話しさせていただきましたとおり、役所での保存期間が、記載されている方全員が除かれてからわずか5年と短いため、廃棄処分されているケースも多いのが実情です。
そこで、上記26.の項目のように上申書の提出を求められるケースもありますが、法務局によっては、今回の標題になっております、不在籍・不在住証明書という書類の提出を求められることがあります。
(私自身の経験では、近畿地方の各府県の法務局ではあまり記憶になく、むしろ、九州地方のある県や、関東地方のある県の法務局と打ち合わせした際に、提出を要求された経験があります。)
「不在籍証明書」とは、誰それさんは現在、○○市○○町○○番地に本籍を有しません、ということを証明する書類です。
「不在住証明書」とは、誰それさんは現在、○○市○○町○○番地に住所を有しません、ということを証明する書類です。
実務上は1枚の証明書で両方を証明することが多いので、まとめて「不在籍・不在住証明書」と呼ばれています。
この不在籍・不在住証明書がどういう効果を有するのか、何となく分かりづらいかもしれませんが、簡単に申し上げますと、次のとおりです。
もし、今現在、登記簿上に記載された住所地に被相続人(亡くなられた方)の本籍や住所があるのであれば、戸籍や住民票の除票(戸籍の附票の除票)に載っているその人は、登記簿上の名義人とは別人ということになってしまいます。
逆に、今現在、登記簿上に記載された住所地に被相続人(亡くなられた方)の本籍や住所がないからこそ、戸籍や住民票の除票(戸籍の附票の除票)に載っているその人は、登記簿上の名義人と同一人物である、という形で、登記の真実性を担保しようという仕組みになっているのです。
ちなみに、市区町村のホームページをご覧いただくと、不在籍・不在住証明書についての説明を載せているところもあるようですので、興味のある方は探してみられてはいかがでしょうか。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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