不動産を取得すると、不動産登記簿には、その取得日(登記申請がなされた日)時点の住所と氏名が記録されます。
法務局はこの住所と氏名によって個人や法人の同一性を特定しています。
したがって、引っ越しによって住所が変わった場合や、結婚・離婚などにより苗字が変わったりした場合には、住所や氏名の変更をしておく必要があります。
もっとも、住所や氏名の変更が生じても必ずしも直ちに変更登記を申請する義務はありません。そのため、登記簿の記載が旧住所や旧姓のままであっても不利益をこうむるおそれはさほど高くはありません。
しかし、次のような場合には、前提として住所や氏名の変更登記の申請を行うことが必須になります。(実務上は同時に連続して申請する場合が多いです。)
1.住宅ローンを借り入れ、担保を設定する場合(借換えの場合を含む)
2.不動産を売却する場合
また、次のような場合に1つでもあてはまる方は、将来的に上記1.と2.の登記申請や相続による所有権移転の登記申請の際に手間がかかって登記費用が高くなるのを防止するため、お早めに住所や氏名の変更登記の申請をされておくことをおすすめします。
1.不動産取得時以降に2回以上引っ越しをされた方
2.引っ越しに際して、住民票だけでなく、本籍地も移された方
3.不動産取得時以降に海外でお住まいになられたことのある方
【登記簿上の名義人の住所・氏名の変更登記申請の必要書類】
◎引っ越しによって住所が変わられた場合
住民票または戸籍の附票
※2回以上引っ越しされた場合は、戸籍の附票の方がすべての経過が分かるケースが多く便利です。
◎住居表示が実施された場合
住民票または住居表示実施証明書
※住居表示実施証明書は、市役所などの住居表示担当課で無料で取得できます。また、登記申請の登録免許税も非課税となります。
◎町名や地番が変更された場合
住民票または町名地番変更証明書
※市区町村の役所で取得できます。これも無料で取得でき、登録免許税も非課税となります。
◎結婚や離婚、養子縁組や離縁などによって氏名が変更した場合
1.戸籍謄本
2.本籍地の記載入りの住民票または戸籍の附票
※この場合には、たとえ住所が変更していない場合でも上記1.と2.の両方が必要になります。戸籍謄本だけでは住所の記載がなく、同一性の判断には十分ではないからです。
※住民票の本籍地の記載は、役所で係の方に「本籍地の記載を入れてください」と頼む必要があります。
注.市町村合併や行政区画の変更による住所の変更の場合には、法務局において読み替えをしてくれますので、 基本的には登記申請は必要ありません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
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