前項(20.不動産の登記簿について その2 登記事項証明書の見方)では、不動産の登記簿(登記事項証明書)の見方についてお話しさせていただきました。
今回はその続きで、マンションの場合の登記簿(登記事項証明書)の見方についてお話しさせていただきます。特に敷地権付きのマンションの登記簿は、一戸建ての建物の登記簿とは違った特徴がありますので、そのあたりに注意しながらご覧ください。
【マンションを買うということの法律的な意味】
いわゆるマンションというのは、難しい用語を使うならば「区分建物」「区分所有建物」などと呼ばれており、複数の人(世帯)が共同で居住する建物のことです。
この区分建物を大きく分けると、各個人(世帯)が居住している部屋の部分(これを専有部分といいます)と、玄関ホール、エレベーター、階段などのマンションの居住者みんなが共同で使用する部分(これを共用部分といいます)とに分けられます。
また、当然のことですが、マンションは土地の上に建てられていますので、居住している建物の専有部分を使用するには、マンションの敷地である土地を使用する権利をも有していなければなりません。
この、敷地の土地を使用する権利のことを敷地権といいます。敷地権は多くは所有権(共有持分)ですが、時には地上権や賃借権の場合もあります。
つまり、マンションを買うという行為を法律的に見てみると、実は居住する建物の専有部分の権利と、マンションの敷地の土地を使用する権利を買っていることになります。
【マンションの登記簿の特徴】
マンションの登記簿も表題部、権利部(甲区)、権利部(乙区)に分けられる点、また場合により共同担保目録や信託目録が付されることもある点では、一戸建ての建物の場合と変わりはありません。
特徴的なのは、表題部の記載事項の中身です。
マンションの登記簿の場合、表題部の記載事項が細分化されています。
◎一棟の建物の表示
マンション全体についての状況のことです。所在、建物の名称(マンション名)、構造(材質や階数)、床面積などが記載されています。
◎敷地権の目的たる土地の表示
マンションの建っている土地(敷地)の地番や地目(土地の利用用途)、地積(広さ)が記載されています。
◎専有部分の建物の表示
各個人(世帯)が居住する部屋の部分(専有部分)についての状況のことです。マンションを所有する皆様にとりましてはこの部分の記載が最も重要になります。
家屋番号、建物の名称、種類、構造、床面積などが記載されています。
◎敷地権の表示
マンションの敷地の土地を使用する根拠となる権利の種類(例.所有権)と、その割合(例.1234567分の8901)などが記載されています。
つまり、あなたはこの敷地権の割合で、マンションの敷地の土地の所有権を、同じマンションの他の所有者とで共有している、という形になるのです。
【登記簿(登記事項証明書)は、建物の分だけ取ればいいの?】
上記のように、マンションの登記簿(登記事項証明書)に、敷地権についての記載がある場合には、このマンションの登記簿(登記事項証明書)だけ取得すれば足り、別途、敷地部分の土地の登記簿(登記事項証明書)を取得する必要はありません。
なぜならマンションの場合、「建物の区分所有等に関する法律」の規定によって、建物(専有部分)と敷地権は、原則として一体のものとして処分しなければならないことになっているため、マンションの登記簿さえ取得すれば、敷地権についても分かるようになっているからです。
但し、上記の「建物の区分所有等に関する法律」の規定は、昭和58年の大改正の際に新設された規定ですので、それ以前に建設された古いマンションの場合には、まだ建物(専有部分)と敷地権とが一体化されていないケースも多いです。
そのような場合には、マンション(専有部分の建物)の登記簿だけでなく、敷地の土地の登記簿をも取得する必要がある点に注意が必要です。
マンションの登記簿(登記事項証明書)の取得でお困りのときには、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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