22.住居表示と地番の違いについて

Q.先日、法務局へ行って自宅の土地と建物の不動産登記簿を取得しようとして、申請書を書いて窓口に出したところ、「住居表示じゃなくて地番を書いてください」と言われてしまいました。

 

私の自宅の住所は「○○一丁目2番3号」となっているのですが、これでは登記簿は取得できないのですか?

 

A.ご自宅の住所は住居表示によるもののようです。それをそのまま申請書に書いたのでは不動産登記簿(登記事項証明書)を取得することはできません。

 

もっとも、その住居表示から地番(または家屋番号を特定することはできますので、その地番(または家屋番号)を用いて不動産登記簿(登記事項証明書)を取得することになります。

 

今回は、不動産登記簿の記載内容について私ども司法書士が皆様にご説明させていただく際に最も多く寄せられるご質問についてご説明させていただきます。

 

それが、タイトルにもあるとおり、住居表示と地番の違いについてのご質問です。

 

【不動産登記簿(登記事項証明書)の取得に必要な情報】

 

そもそも、不動産登記簿(登記事項証明書)を法務局で取得しようとする場合、土地の場合には所在地と地番を用いてその土地を特定します。

 

また、建物の場合には所在地と家屋番号を用いてその建物を特定します。
もっともその所在する土地が検索のきっかけになることが通常ですので、基本的には土地と同様に考えていただいて結構です。
(戸建て住宅の場合には、古い建物を除き、地番と同じ番号の家屋番号が付されていることが多いです。)

 

【地番・家屋番号と住居表示の違い、両者の関係について】

 

地番とは、その土地の場所や権利の範囲を特定するために一筆ごとに土地に付けられた番号のことです。
家屋番号とは、その建物を特定するために一個ごとに建物に付けられた番号のことです。
この、地番や家屋番号は国(法務局)が決めたものです

 

一方、住居表示とは、「住居表示に関する法律」という法律を根拠として市町村が決めたもの、町を分かりやすくしたり、郵便物などの配達がしやすくなるように定められるものです。

 

このように、地番・家屋番号と住居表示は、そもそも決めている役所が違うことからもお分かりのとおり、基本的には全く別物です。

 

しかし、住居表示が導入されている地域であっても、地番・家屋番号が廃止されたわけではなく、従前のままの地番・家屋番号が基本的にそのまま維持されています。したがって、登記事項証明書の請求には、この地番・家屋番号の情報が必要になります。

 

また、住居表示は全国的に導入されているわけではなく、都市部を中心にまだまだ限定的ですので、住居表示が未導入の地域では、地番と住所の番地とが一致するのが通常です。

 

お住まいの地域が住居表示を導入しているかどうかは、住所を見れば分かります。

導入済み地域…住所が「1」「34-506」など、で表示されている場合。
未導入の地域…住所が「100番地」「200番地の30」など、番地となっている場合。

 

※ちなみに、お住まいの市町村のホームページ上で住居表示を実施している地域を公表している場合もありますので、ご覧になってみてください。
(参考)奈良市役所ホームページ「住居表示について」のページへリンク

 

【地番が分からない場合はどうするのか?】

 

では、不動産登記簿(登記事項証明書)を取得しようとする場合で、地番が分からない場合にはどうしたら良いのでしょうか?

 

実は、住居表示が分かっていれば、一番簡単な方法は、法務局に電話で問い合わせることです(私たち司法書士もこの方法をよく使用します)。

 

管轄の法務局に電話して、「住居表示から地番を教えて欲しいのですが…」と係員の方にお願いします。しばらく待たされますが、ちゃんと教えてくれます。

 

しかも電話代以外、特別な料金は一切かかりません

 

住居表示も分からない場合には、法務局へ行くと、「ブルーマップ」という大型の住宅地図が備え置かれています。そこに住居表示と地番の両方が書き込まれていますので、それで特定することができます。

 

不動産登記簿の取得に関して分からないことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。