25.法務局に備えられている各種の図面について その2 図面の種類

今回は、法務局に備え付けられている各種の図面について、具体的にどのようなものがあるのかを見ていくことにしましょう。

 

【地図、地図に準ずる図面(公図)】

 

地図とは、不動産登記法第14条により、登記所(法務局)に備え付けるものとされている、土地の区画及び地番を明確に表示した図面のことです。「法14条地図」ともいいます。

 

国土調査法に基づき、精度の高い測量や調査(地籍調査)を行ったうえで作成される、地図です。そのため、登記された位置関係や形状に至るまでを、現地において示す能力を有するものとされています。

 

もっとも、現状では地籍調査があまり進んでおらず、地図(法14条地図)が整備されている地域は、特に近畿地方では少数にとどまっています。
(都市部では権利関係が複雑だから、というのが主な理由と思われます。)

 

(参考)平成26年3月末現在の地籍調査進捗率は、全国平均が51%なのに対し、奈良県が12%、大阪府が10%、京都府が8%にとどまっています。

 

そこで、多くの場合、地図に準ずる図面(公図)が法務局に備え付けられています。こちらは旧土地台帳附属地図などをもとに作成された図面で、上記の法14条地図よりも精度は低いです。そのため、土地の形状などが実際とは異なる場合があります。
もっとも、隣接地との位置関係を知る手がかりとしては十分に重要なものです。

 

一般に「公図」という場合には、この「法14条地図」と「地図に準ずる図面」を総称したものです。

 

【地積測量図】

 

地積測量図とは、土地の面積とその求積方法のほか、筆界点の座標値や筆界点間の距離、方位、縮尺、該当地の地番及び隣接地の地番などを記載した図面のことです。

 

土地の分筆登記や地積変更登記などをする際に、登記申請書の添付書類として提出される図面で、通常は土地家屋調査士が作成します。その図面を法務局で保存し、手数料を支払えば誰でも閲覧したり写しを請求したりできるようにしたものです。

 

もっとも、上記のような土地の分筆登記や地積変更登記の際に地積測量図の添付が義務づけられたのが、地域により異なりますがおよそ昭和38年~40年(西暦1963年~1965年)頃です。それ以後に土地の分筆や地積変更が一度も行われていない場合には、地積測量図はありませんのでご注意ください。

 

また、区画整理が行われた土地についても、地積測量図の提出がありませんので、区画整理実施以後に土地の分筆などが行われていない限り、やはり地積測量図はないことになります。

 

【建物図面・各階平面図】

 

建物図面とは、建物(区分建物を含む)の位置や形状などを示す図面で、一般的には1枚のA3の用紙に「建物図面」と「各階平面図」とが描かれています。

建物図面には敷地に対する建物の位置関係や形状などが記載され、各階平面図には各階ごとの形状や、登記上の床面積を算出するための計算式などが記載されます。

 

建物の新築や増築の登記を申請する際に、登記申請書の添付書類として提出される図面で、通常は土地家屋調査士が作成します。地積測量図と同様に、その図面を法務局で保存し、手数料を支払えば誰でも閲覧したり写しを請求したりできるようにしたものです。

 

もっとも、建物図面の場合も登記申請書に添付が義務づけられたのが、地域により異なりますがおよそ昭和38年~42年(西暦1963年~1967年)頃ですので、それ以前に登記された建物の場合には、ない場合もあります。

 

また、建物図面は登記を目的とした図面であるため、間取りや構造設備などが分かるわけではありませんので、ご留意ください。

 

【地役権図面】

 

上記の3種類の図面に比べるとかなりマイナーな図面ですが、地役権の設定登記がされた土地に備え付けられた図面のことです。土地に対して地役権の設定された範囲を図示したものです。地積測量図とよく似た図面です。

 

地役権設定登記の申請の際に、土地の一部分について地役権を設定する場合には、添付書類として地役権図面を提出する必要があります。
地積測量図などと同様に、その図面を法務局で保存し、手数料を支払えば誰でも閲覧したり写しを請求したりできるようにしたものです。

 

具体的には、電力会社の送電線の真下の土地などにあります。



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