不動産の登記の申請においては、当事者が会社などの法人の場合、原則としては当該法人の代表者の方の資格証明書の添付が必要です。
具体的には、会社や法人の商業・法人登記簿(履歴事項全部・一部証明書や現在事項全部・一部証明書のほか、代表者事項証明書でも可)で、発行から3ヶ月以内のものを添付します。
ただ、それらの法人についての登記の記録が保管されていて、それを管理しているのは他ならぬ法務局なのですから、自らその記録を探し出してその内容を確認できるのであれば、わざわざ毎回申請書に添付させる必要もないでしょう。
ということで、会社や法人の本店所在地を管轄する法務局と、不動産登記を申請する管轄の法務局とが同じの場合には、代表者の方の資格証明書の添付を省略することができます。
但し、近年では商業・法人登記の事務の集約化に伴い、商業・法人登記の管轄エリアが、不動産登記の管轄エリアよりも広大化しています。
例えば、奈良県内の場合、不動産登記の管轄エリアは奈良地方法務局本局、葛城支局、桜井支局、五條支局、橿原出張所の5ヶ所に分かれていますが、商業・法人登記は集約化により、県内すべての申請を奈良本局のみで受付することになっています。
そのため、法務局が「同じ」と扱われる範囲が規則で拡大されており、その結果、奈良県内に本店・主たる事務所がある会社・法人は、県内5ヶ所のどの法務局に申請する不動産登記の申請においても、資格証明書の添付を省略することが可能です。
一方で、大都市の法務局の本局では、例外的にこの添付省略は認められていませんのでご注意ください。
近畿地方では、大阪法務局、神戸地方法務局、京都地方法務局のそれぞれ本局がこれにあたります。
具体例.大阪市中央区に本店がある会社が、大阪市中央区の不動産の登記申請の当事者になる場合、大阪法務局本局に登記を申請することになりますが、資格証明書の添付を省略することは許されず、添付が必要です。
これは、業務が特に忙しいからとか、不動産登記部門と商業・法人部門のフロアが異なっているからだとされています。
※大阪法務局本局の場合、商業・法人登記が1階、不動産登記が2階で、完全に別々のフロアになっています。
【最新情報…平成27年11月2日(月)以降、資格証明書の添付は原則不要になりました。】
上記でご説明したような添付の省略やその例外の規定というのは、そもそも登記簿の記録が紙の簿冊だった時代の発想であり、法務局のコンピュータ化がほぼ完了した現在ではその合理性自体が疑問になってきていました。
法務局の職員の方も、私ども司法書士でも、今やコンピュータを使えば一発で容易に確認できますからね。
ということで、いよいよ平成27年11月2日から、不動産登記令、および不動産登記規則の一部改正が施行され、資格証明書の添付は原則として不要になりました。
詳しくは、「29.(新着情報)会社などの法人の資格証明書の添付が不要になります」のページをご参照ください。
以上につき、詳しくはご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
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