不動産登記において法人が当事者になる場合、法人の代表者の資格証明書の添付は、平成27年11月2日(月)以降、申請書に会社法人等番号を記載することにより、原則として不要となりました。
一方、不動産登記において法人が当事者になる場合に添付を省略できる書類は、実は資格証明書だけではありません。
具体的にいうと、会社や法人の本店所在地を管轄する法務局と、不動産登記を申請する管轄の法務局とが同じの場合には、当該法人の印鑑証明書の添付を省略することができます。
会社などの法人は登記所(法務局)に印鑑を届け出ることが義務づけられており、他ならぬ法務局で法人の届出印鑑を管理していることから、印鑑を届け出た法務局と同一の法務局であれば、自らその記録を探し出してその内容を確認できる以上、わざわざ毎回申請書に添付させる必要もないだろう、という趣旨から設けられた例外規定です。
但し、大都市の法務局の本局では、印鑑証明書の添付省略は認められていませんのでご注意ください。
近畿地方では、大阪法務局、神戸地方法務局、京都地方法務局のそれぞれ本局がこれにあたります。
【具体例】
大阪市中央区に本店がある会社が、大阪市中央区の不動産の登記申請の売主になる場合、大阪法務局本局に登記を申請することになりますが、印鑑証明書の添付を省略することは許されず、添付が必要です。
これは、業務が特に忙しいからとか、不動産登記部門と商業・法人部門のフロアが異なっているからだとされています。
※大阪法務局本局の場合、商業・法人登記が1階、不動産登記が2階で、完全に別々のフロアになっています。
【参考・不動産登記規則(必要な部分だけ抜粋しています)】
第48条(申請書に印鑑証明書の添付を要しない場合)
1 申請を受ける登記所が、添付すべき印鑑に関する証明書を作成すべき登記所と同一であって、法務大臣が指定した登記所以外のものである場合
(以下省略)
以上、難しい話だと感じられた方もいらっしゃると思いますが、法人の印鑑証明書の添付を省略できる可能性があるのは、近畿地方の場合は以下の6ヶ所の法務局の管内の不動産登記の申請だけである、と覚えておいていただければ十分です。
奈良地方法務局(本局)
大津地方法務局(本局)
和歌山地方法務局(本局)
大阪法務局堺支局
大阪法務局北大阪支局
大阪法務局東大阪支局
(なお、兵庫県と京都府には添付省略が可能な法務局はありません。)
なお、不動産取引の現場におきましては、たとえ印鑑証明書の添付省略が可能な場合であっても、委任状などにご捺印いただいた実印の印影照合が必要になりますので、印鑑証明書自体はご準備いただきますよう、ご協力をよろしくお願いいたします。
また、印鑑証明書の添付省略の可否など、ご不明の点がございましたら、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
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