後見制度支援信託(こうけんせいどしえんしんたく)とは、後見制度による支援を受けられる方(ご本人様)の財産のうち、日常的な支払いをするのに必要十分な金銭を除き、普段は使用しない金銭を信託銀行などに管理を託する、という仕組みのことです。
言い換えれば、後見制度を財産管理の面でバックアップするための信託の仕組みです。
【後見制度支援信託を利用する場合の流れ】
①〔家庭裁判所〕後見開始の審判の申立てを受けて審理
家庭裁判所は、後見を開始すべきか、誰を後見人に選任するか、後見制度支援信託の利用を検討するか、などを審理します。
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②〔家庭裁判所〕審判・後見人の選任
家庭裁判所は、後見制度支援信託の利用を検討すべきと判断した場合には、司法書士や弁護士などの専門職を後見人に選任します。
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③〔専門職後見人〕後見制度支援信託の利用の適否についての検討
専門職後見人は、ご本人様の生活状況や財産状況をもとに、後見制度支援信託の利用に適しているか否かを検討します。
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④〔専門職後見人〕家庭裁判所に信託契約をする旨の報告書提出
後見制度支援信託の利用に適していると判断された場合、専門職後見人は、信託する財産の額や、親族後見人が日常的な支出に充てる額などを設定し、家庭裁判所に報告書を提出します。
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⑤〔家庭裁判所〕専門職後見人に指示書を発行
家庭裁判所は、報告書の内容を確認し、後見制度支援信託の利用に適していると判断した場合、専門職後見人に指示書を発行します。
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⑥〔専門職後見人〕信託契約締結
専門職後見人は、家庭裁判所から発行を受けた指示書を信託銀行など提出し、信託契約を締結します。
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⑦専門職後見人が辞任し、親族後見人へ引き継ぎ
信託契約の締結により、専門職後見人の関与が必要なくなれば、専門職後見人は辞任します。その後、専門職後見人が管理していた財産は、親族後見人に対して引き継がれます。
上記の動画は、裁判所により制作されました、後見制度支援信託についての手引きの動画です。
※裁判所により動画投稿サイトYouTubeに投稿された動画を引用させていただきました。ありがとうございました。
【後見制度支援信託を利用するメリット】
後見人の方は、長期間にわたってご本人に代わって財産の管理を行う必要がありますが、必ずしも財産管理の専門家ではありません。
特に、現金や預貯金に関しては、生活費など日常的・継続的な支出だけでなく、医療費など臨時的な支出もあります。また、金銭の管理方法などをめぐって親族間でトラブルとなるおそれもあります。
後見制度支援信託を利用することで、金銭は信託銀行などで管理することになりますので、親族後見人の方の財産管理の負担を軽減することができます。
一方、ご本人様の側から見れば、信託された金銭は、信託銀行の一般的な信託商品とは異なり、元本保証付きで安定的に運用されるうえに、金銭の引き出しなどに際しては家庭裁判所の指示書の交付を受けることが必要となりますので、家庭裁判所の関与の下で安全に預貯金を保全することができます。
この後見制度支援信託の制度は、平成24年から始まった制度でまだ日は浅いですが、着実に利用(を検討すべきと家庭裁判所から指示されている)件数が増加してきています。
制度についてご不明の点などがございましたら、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
一般社団法人民事信託士協会認定 第5期民事信託士(登録番号 第20ー05ー106号)
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