今回は、最近注目が高まっております、死後事務委任契約についてお話しさせていただきます。
死後事務委任契約とは、文字どおり、自分の死後にしなければならないもろもろの事務を、自分が信頼できる他の人に委ねて任せる、という契約を、生前に結んでおくことです。
もう少し法律家っぽい説明の仕方をしますと、本人(委任者)が他人(受任者)に対し、葬儀や埋葬などの死後にすべき諸手続に関する事務を委託するという契約を、本人の生前に結んでおくことをいいます。
この委託を受けた者が、本人(委任者)が亡くなられた後に、契約に定められた各種の事務手続きを行うことになります。
死後事務委任契約は、次のような方が利用されるケースが多いです。
1.親族がいない方
2.親族が遠方に住んでいる方
3.親族と疎遠だったり、仲が悪い方
4.自分の死後に親族にわずらわしい手続きをさせたくない方
5.葬儀のやり方、納骨などを自分の希望どおりにしてもらいたい方
死後事務委任契約によって事務を委託された人(受任者)は、具体的には次のようなことを行います。
・役所への死亡届の提出
・遺品の整理、処分、相続人などへの引き渡し
・自宅の明け渡しや処分
・葬儀、埋葬、永代供養に関する手続き
・生前に発生した未払いの債務の支払い(入院・入所費用の精算など)
・年金に関する手続き
・電気、水道、ガスに関する手続き
・親族や友人などへの通知
これらのことを、ご自分の希望どおりにしてもらえるように、あらかじめ契約書に盛り込んでおきます。もちろん、ここに挙げていない細かいことでも、契約書に盛り込んでかまいません。
普段の仕事でお客様のお話を伺っておりますと、やはり、「自分が死んだ後の事なんてどうでもいいや」ではなく、「事前に出来ることはやっておきたい」とお考えの方が多いと実感します。
そのような方にこそ、この死後事務委任契約をご検討していただきたいと思います。
では、この死後事務委任契約は「誰と」結べば良いのでしょうか。
実は、契約の相手方には特に制限はありません。信頼できる方であれば誰でも結構です。相手が個人でも良いですし、法人でもかまいません。
ただ、信頼できるお知り合いの方がいない場合には、ある程度信頼性の担保されている専門家(司法書士・弁護士など)の方がより安心できると思います。
財産があまりないから、という理由で遺言書の作成にあまり乗り気でない方であっても、死後事務委任契約については一度ご検討されることをおすすめします。死後事務委任契約は財産の多い少ないには関係がなく、どなたにも関係することだからです。
また、死後事務委任契約は、任意後見契約や遺言書とセットで作成することも多いです。そのため、法律上は特に公正証書で作成することが求められているわけではありませんが、実務的には公正証書で作成することも多いです。その方がより安心ですね。
はしもと司法書士事務所でも、死後事務委任契約に関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
簡裁訴訟代理関係業務認定司法書士(認定番号 第1012195号)
一般社団法人相続診断協会認定 相続診断士(認定番号 第512848号)
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