Q.内縁の夫が先日亡くなりました。私たちには未成年の子供が2人いますが認知されていません。私たちが住んでいる自宅は夫が購入したもので、名義も夫のものです。この自宅を2人の子供に相続させたいと思いますが、どのようにすれば良いのでしょうか?。
A.ご質問のケースでは、お子様の相続権を主張するために、まず認知の訴えを家庭裁判所に提起する必要があります。
そして認知の判決が確定してから本籍地の市区町村の役所に認知の届出をします。
これによりご主人様の相続人となったお子様2人が遺産分割協議を行う形になりますが、お2人とも未成年、かつお2人の利益が相反する関係にありますので、特別代理人の選任が必要になります。
お子様のうちのお1人はお母様が、もう1人は選任された特別代理人が、それぞれ代理人として遺産分割協議を行うことになります。
内縁関係にあるご夫婦の場合、役所に婚姻届を提出されているご夫婦の場合と異なり、お父様とお子様との間には当然には親子関係が認められません。
(注.お母様とお子様との間には当然に親子関係が認められます。それはお母様がお子様を出産された、という事実から明らかだからです。)
このような場合、ご主人様名義の遺産をお子様に相続させるには、以下の手順によって手続を進めることになります。
1.認知の訴え
まずは、お父様とお子様との間に親子関係がないと相続させることはできません。
そこで、「認知」という、血縁関係にある父が、その子は自分の子だと認めて、戸籍上・法
律上の親子関係を確立するための手続を経ることが必要となります。
今回のケースでは、ご主人様が亡くなられていますので、ご主人様とお子様との間に親子関係があることを明らかにするため、家庭裁判所に対して認知を求める訴えを提起する必要があります。
この認知の訴えは、お子様(お母様が代理人)を原告、検察官を被告として、ご主人様の死亡の日から3年以内に家庭裁判所に提起します。
2.認知の届出
認知の判決が確定した場合には、確定した日から10日以内に本籍地の市区町村に認知の届出をします。これにより、ご主人様とお子様との間に親子関係が創設されます。
3.特別代理人選任の申立て
これにより、ご主人様の相続人は未成年のお子様2人ということになりますが、2人の利益は相反する関係になります。したがいまして、お母様がお2人のお子様双方の代理人になることはできません。
同時にお2人のお子様の代理人になってしまうと、公平を害するおそれがあるため、(たとえ遺産を均等に分割するとしても)一律に禁じられています。
そこで、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。
4.遺産分割協議
お母様と、選任された特別代理人とが、2人のお子様のそれぞれの代理人として、遺産分割協議を行います。
今回のご質問のようなケースは少なくないと思います。詳しくはご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート会員(会員番号 第6410360号)
(後見人候補者名簿及び後見監督人候補者名簿登載)
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