Q.先日、私の父が亡くなりました。父は、祖父の遺産として、実家周辺の山林など、多数の不動産を所有していたと聞いています。しかし、相続人である私たちには、その所在や地番などが正確には分からない不動産もあります。一体どうやって調べたら良いのでしょうか。
A.まず、所在や地番が分かっている不動産については、最新の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得して権利関係を確認します。
次に、所在や地番が分かっていない不動産については、まず、毎年4~5月頃に市区町村役場から郵送されてくる、固定資産税納税通知書がないかを確認します。
また、その市区町村役場へ行って、固定資産課税台帳(名寄帳)の写しを取り寄せれば、被相続人(亡くなられた方)の所有不動産を把握することができます。
それらによって所在や地番が判明した不動産についても、最新の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得して権利関係を確認します。
我が国の遺産相続においては、土地や建物といった不動産が、相続財産の評価額の半分以上を占めているのが現状です。
そこで、被相続人(亡くなられた方)が所有されていた不動産の状況やその評価額を正確に把握することが、相続手続きの重要な根幹をなすことになります。
所有されていた不動産は、その所在や地番によって特定することができますので、まずはそれらの把握に努めることとなります。
一番分かりやすい手がかりは、毎年4~5月頃に市区町村役場から郵送されてくる、固定資産税納税通知書です。これはその年の1月1日現在の所有者宛に送られてくるもので、その中の課税明細書には、所有者の方が当該市区町村内に所有されている不動産が列挙されています。
従いまして、その中に記載されている不動産の地番や家屋番号をもとにして、最新の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得して権利関係を確認する、という流れになります。
ただ、地方の山林などの場合には、評価額が低いために固定資産税が課税されず、そもそも固定資産税納税通知書が来ないケースもありえます。
そこで、市区町村役場に対して、固定資産課税台帳(名寄帳)の写しを請求するという方法があります。戸籍謄本などを提示して自らが相続人であることを証明すれば取得することができます。そうすれば被相続人(亡くなられた方)が当該市区町村内で所有されていた不動産が列挙されています。
※但し、固定資産課税台帳(名寄帳)の写しを請求する場合、単独所有分と共有所有分とは別々になりますので注意が必要です。
また、法人名義の不動産は固定資産課税台帳(名寄帳)には記載されませんので、名寄帳に載っていなくても法人名義で不動産を所有されていた、ということはありえます。
その中に記載されている不動産の地番や家屋番号をもとにして、最新の登記事項証明書(登記簿謄本)を法務局で取得して権利関係を確認する、という流れになります。
また、ご質問の件では、不動産の名義がまだ祖父のままの可能性もありますので、念のため、祖父の遺産の範囲と、その相続がどのように行われたのか確認する必要があります。
そして、不動産の所有者の名義やその他の権利(抵当権など)の有無などを確認するのとともに、それぞれの不動産の固定資産評価額も確認しておきます。
固定資産評価額は、相続の登記手続きに必要な登録免許税の額の算定の基礎となるのはもちろん、相続税の額の算定の基礎にもなっていますので、正確な額を確認しておくことが必要です。
※建物の相続税評価額は、固定資産評価額と同額です。土地についても、路線価方式が採用されていない地域では、固定資産評価額に一定倍率を掛けて算出します(倍率方式)。
はしもと司法書士事務所でも、登記事項証明書のほか、固定資産課税台帳(名寄帳)の写しの取得の代行をさせていただくことが可能ですので、お気軽にご相談ください。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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