Q.私は今50代ですが、将来のことを考えて今から遺言書を作成しようと考えています。とはいえ、健康には人一倍気を遣っていると自負しており、実際に遺言書が必要になる状況はまだまだ先のことだと思っています。
遺言書に有効期限ってあるのでしょうか?
A.遺言書には特に有効期限はなく、内容を変更・取消したり矛盾する内容の遺言書を新たに作成しない限り、いつまででも有効です。
お若いうちから将来のことを考えて遺言書を作成されるというのは大変良いことだと思います。
日本では欧米に比べて遺言書の作成率がまだまだ低いですが、リスクマネジメントの観点からも遺言書の作成がもっと普及する必要があると思います。
とはいえ、長寿化が進んだ現代の日本社会では、実際に遺言書が必要になる(つまり、お亡くなりになる)までの期間はかなり長くなるようにも思えます。
そこで、作成された遺言書がいつまで効力を持つのかは気になるところですね。
実は、遺言書には有効期限はありません。一度作成されると、特に何もしない限り有効で、お亡くなりになった時点で、実際に記載された内容に沿った効力が発生します。
ただ、遺言書を作成されてから年数が経過すると、例えば財産をあげようと思っていた気が変わったり、財産状況そのものが変化するなど、皆様をとりまく状況も変化することでしょう。
そこで、作成された遺言書の効力に変化が生じるケースが、以下のとおり規定されています。
1.新しい遺言書を作成して、前の遺言書の内容を撤回させることができます。
→遺言書は、原則として最新のものが有効です。
(遺言書に作成年月日を入れることになっているのは、このためです。)
2.特に前の遺言書の内容を撤回する旨の記述がなくても、前の遺言書と後の遺言書の内容が矛盾する場合には、その矛盾する部分については後の遺言書で前の遺言書を撤回したものとみなされます。
例.前の遺言書→「自宅不動産は、妻に相続させる。」
後の遺言書→「自宅不動産は、長男に相続させる。」
前の遺言書は撤回したものとみなされ、遺言者の死亡により自宅不動産は長男に相続されます。
3.遺言書を作成した後、遺言者がその遺言内容と矛盾する生前処分などの法律行為をした場合にも、その矛盾する部分については遺言を撤回したものとみなされます。
例.「自宅不動産は、妻に相続させる。」旨の遺言書を作成して数年後、自宅不動産を他人に売却した場合。
自宅不動産に関する遺言は撤回されたものとみなされ、妻には相続されません。
このような状況の変化に的確に対応するためにも、遺言書は一度作成すればそれで良し、というわけではなく、内容の定期的な見直しも大切です。
詳しくはご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
はしもと司法書士事務所
代表 司法書士・相続診断士・民事信託士 橋本浩史(奈良県司法書士会所属 第471号)
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